チェンラーイの風を聴け № 1
ブログに書き加えながら焼酎を飲み、少し寝た。 「起きた?」 ケイからの三度目の電話。 「うん、もう起きたよ。」 頭が酸欠状態で眠くて仕方ない。目を閉じたら眠ってしまいそうだ。忘れ物がないことを確認してから、生ゴミを入れたスーパーのビニール袋を持ってアパートの部屋を出た。 成田に到着し、Business Airのチェックインカウンターから伸びた長い列に並んだ。非常に眠い。...
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View Articleチェンラーイの風を聴け № 2
終点のパヤタイ駅で降り、エアポート・レール・リンクと交差して走る鉄道の線路際を歩く。まるで異空間に入りこんだように周囲の空気が変わり、古い記憶の世界にタイムスリップしたような感覚が妙に心地よい。寡黙な人々が佇むのは、ここが列車の発着所になっているからか。 「ほらテッチャン、メー(母)が待ってるわよ。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け № 3
ケイの甥がスーツケースを運び、タクシーを呼びに行ってくれた。線路伝いにしばらく歩いて左のソイ(路地)に入り、やって来たタクシーにケイと乗り込んだ。ケイが運転手にホテルの名前と場所を告げる。どうやら「ドラえもんホテル」という信じられない名前のホテルのようだ。十分とかからずに到着した。 「ドラえもんじゃなくてダイアモンドだよ。」 タクシーを降りてケイに言った。 「そうみたいね。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け № 4
冷蔵庫に入れておいたビールを一本出し、椅子に座った。エアコンが効きすぎていて寒い。デイパックからジャケットを取り出して着ると、ケイが目を覚ましてベッドから起き上がった。 「寝言を言ってたし鼾をかいてたわ。」 ケイが向かいに座って言った。 「歯ぎしりは?」 「ええ、してた。」 「疲れてたんだ。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け № 5
メーが帰った後、部屋代に朝食が含まれていたのでブッフェの料理を軽く食べ、ケイと一緒に散歩に出掛けた。 屋台が並ぶ通りをパヤタイ方面に歩いていると、ケイの携帯が鳴った。 「テッチャンの指輪、二サルン(五十サタン)しかないって。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け № 6
「あっ!テッチャン、3、9、9。」 金行を出てヤワラートをぶらついていると、突然ケイがつないでいる手にギュッと力を入れて言った。数字の意味は分かる。 「どこ。」 「さっき見えたの。3、9、9よ。あそこ、あそこ。」...
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View Articleチェンラーイの風を聴け № 8
ホテルで朝食を取った後、ケイの妹が堆肥を売る商売の関係でウタイターニーに帰らなければならないので、9時前にパヤタイの家へ出掛けた。 一人の男性が、家の前の線路際でビールを飲んでいた。 「兄よ。アル中なの。」 ケイが笑って言った。 その第四子で次男の兄が冷蔵庫にあったビールを一本出し、コップに注いで私に渡してくれた。 「ケイ、金。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け № 9
朝の6時にケイが起き出し、起こされた私は、6時半に身支度を済ませた。ジーパンに古着屋で買った短い襟の白シャツといういでたちだ。白とピンクのツートンカラーのワンピースを着たケイが、化粧をして「まさ子」に変身した。 「言ってくれれば、日本からちゃんとした服を持って来たのに。」 「プラトゥーナーム市場で買えばよかったじゃない。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け №10
ご祝儀がどれくらい集まったのか分からない。メー(母)に言われて、ケイが銀色の水汲みの中に入れられた数葉の封筒をバッグにしまい込んだ。その後、私たちと何人かは(実際、誰が誰だか分からなくなっていた。)五女の部屋に残ってメーが用意した料理を食べ、他の兄姉などは裏にある実家のバラックに移動した。...
View Articleチェンラーイの風を聴け №11
「次兄の夢を見たんだ。」 ピー・モット(モット姉さん)を見送りに成田空港に来た次兄の夢を見た。意味不明な夢の細部は忘れてしまったが、確かに夜だったのは覚えている。私は見知らぬ白い壁の部屋の中にいて、大きなガラス戸の外の暗闇に次兄が無言で立っていた。...
View Articleチェンラーイの風を聴け №12
バスで翻訳会社に行って前日日本大使館で発行された英文の婚姻証明書のタイ語訳を受け取り、それから、認証を受けるためにバスを乗り継いでタイ国外務省に向かった。...
View Articleチェンラーイの風を聴け №13
チャアムで買った食あたりの薬がショルダーバッグの中に残っていたので、とりあえず飲んだ。(効けばいいんだが……。)執拗に青臭い臭いが胃からこみ上げて来て吐きそうになる。(とほほ、駄目かもしれない。)じきにケイが抗生物質の薬を買って戻って来た。それを飲んでマットレスの上に横になり、悲鳴を上げている胃を両手で押さえて情けなく唸る。(ウ~ウ~ウブ~、くそっ!クイ・チャーイなど、もう絶対に食わんぞ。)...
View Articleチェンラーイの風を聴け №14
ケイとプラチャーラート・サーイ1通りを散歩して、帰りにガイ・トート・サムンプライ(鶏肉のハーブ揚げ)を買った。冷蔵庫の中のビールを一本飲むと迂闊にもムラッと来てしまい、結果、少し遅れて家を出ることになった。 バスを待っていると矢内氏から電話がかかってきた。 「もう着きますか?」 「いや、実は、まだバンスーのバス停なんです。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け №15
ケイと私が結婚したという事実をなかなか言い出せなかったので、二人にデジカメの写真を見せた。 「どれどれ、何これ。なんか買ってあげたの?」 (二人に見せた画像写真。) 宮崎氏がデジカメの画面を覗き込んで言った。どうやら全く伝わっていないようだ。 「いや、結婚したんですよ!指輪でしょー、これ!」 デジカメを手にした矢内氏は、やや驚いた様子だ。 「でも、何でこんな服着てんの。」...
View Articleチェンラーイの風を聴け №16
ビールで顔が赤くなったS氏は、十四年ぶり(十七年ぶりだったかもしれない。)にカーオサーンに泊まるつもりだと言った。私は、カーオサーンは遊びに行くところで泊まるところではないと思うのだが……。...
View Articleチェンラーイの風を聴け №17
いつもの雑貨屋でビール四本とタバコ二箱を買い、バンスーの家に戻って来た。すぐに床に座ってケイと飲み始めた。ビールで思い出したが、矢内氏によると、バンコックのスーパーでハイネケンをダース買いする際に一本だけくるりと向きを変えておくと、その缶のバーコードを読み取ってくれる非常に親切なキャッシャーがいるそうだ。パヤタイで多分に飲んだ私はじきに酔ってしまったが、ケイは「何よ、これっぽっち」と飲み続ける。...
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